シマサルナシ

(ナシカズラ,ヤマナシ,コッコー,コクモンジ,クガ)

A. rufa


【自生分布】シマサルナシは,紀伊半島東南部を東限として,四国の太平洋岸,淡路島東南部,九州の沿岸地域,山口県の島嶼部,南西諸島に自生分布しています.国外では朝鮮半島南部の島嶼部,台湾にも一部自生が報告されています.

【葉】葉は、濃い緑色でやや厚みがあり、表面に光沢があり、表面・裏面とも無毛です.

【花】雌雄異株です.花は,5月下旬から6月上旬にかけて開花し,花径は1.5〜2cmで,花弁は白〜淡黄色で,葯は黄色,子房は黄緑色で白色の毛じが密生しています.花柱は傘状あるいは漏斗状に開きます.雄株の子房は退化しています.雌花(左)、雄花(右)

【授粉】雌雄異株のため,雄株の花粉の授粉がないと結実しません.デリシオサ種やチネンシス種のキウイフルーツの雄品種の花粉でも結実させることができますが,デリシオサ種では種子の発達が不良で果実がやや小さくなることがあります.

【果実】果実は10〜30gで,緑褐色から褐色で無毛ですが,表面に皮目(ひもく)を生じます.生育場所の環境により果実の色や皮目の発生程度は変化します.果肉は濃緑色で放射状に種子が入ります.可溶性固形物含量は10〜18%で滴定酸含量は2%前後です.アスコルビン酸含量は20〜50mg/100g果肉新鮮重が含まれ,ポリフェノールも多く含まれています.サルナシとは対照的に,タンパク質分解酵素(アクチニジン)の含量が極めて少ない特徴があります.食味は良好です.

【追熟】果実は,晩生で11月中下旬に成熟します.樹上にそのまま置いても果実は落ちずに霜にあたると軟化して可食となります.硬い状態で収穫した果実は,エチレン処理することで斉一に追熟しますが,そのままではうまく追熟せず,徐々にしなびてしまいます.

【倍数性】二倍体.


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